研究開発領域

肺疾患 – 間質性肺疾患

間質性肺疾患(ILD)は、コラーゲンの過剰生産、蓄積によって肺の間質が厚くなることで、肺の機能に影響を与え、その影響が実に様々な症状となって現れます。間質は体組織のレースのような網状のもので、ブドウの房状の小さな袋のような肺胞を支えているもので、その中を毛細血管が走っており、血液と空気とのガス交換をしています。 間質性肺疾患の原因として考えられるのは、炎症、瘢痕化、浮腫です。

間質性肺疾患には、多くのタイプがあり、最も一般的なものは以下です。

間質性肺炎には
・バクテリア、ウイルス、感染性の細菌による感染によるもの
・原因不明な特発性肺線維症(IPF)
・リウマチ性関節炎(RA)、強皮症(SD)のような自己免疫状況を伴う非特異型間質性肺炎(NSIP)
があり、不特定間質性線維性肺炎も間質性肺炎に分類されます。また、場合によっては、結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)もこれに分類されます。

病気や疾病の進行プロセスには、TGF-beta(線細芽細胞形質転換、促進因子)、VEGF(血管内皮細胞成長因子)、PDGF(血小板由来成長因子)そして、FGF(線維芽細胞成長因子)シグナル経路が関係していますが、コラーゲンの過剰生産、蓄積の細胞内のメカニズムは今なお明らかになっていません。

ピルフェニドンが中国、アメリカ、欧州、日本で特発性肺線維症適応症に承認されるまでステロイドが唯一の対処法でありましたが、その有効性に疑問があり、かつ、深刻な副作用を伴うものでした。
現在、ピルフェニドン(アイスーリュイ〔中国語:艾思瑞、英語:Etuary®〕)は、放射線性肺炎、結合組織疾患を伴う間質性肺疾患といった、特発性肺線維症以外の適応症用に開発中です。